お子様の低身長には治療が可能なケースもあります

『うちの子は、同じ年齢の子と比べて小さい気がするけれど、大丈夫かな…』
そのように感じたことはありませんか。
子供の身長には個人差があり、小柄であること自体がすぐに病気を意味するわけではありません。成長のペースもそれぞれ異なり、自然に追いついていくことも多くあります。
しかし中には何らかの原因疾患があって、身長がなかなか伸びない、周囲と比べてかなり小柄という場合があります。
低身長とは具体的には、同じ月齢で生まれた子供達100人が背の順に並んだ時、前から2〜3番目より前に並んでいる子供達が低身長と定義づけられます。 そして、原因によって治療が可能な低身長疾患もあります。
しかし、身長が伸びる時期は期限があり、思春期が完了し骨の成長が止まってしまうと、内科的治療では伸びは期待できなくなります。
早めの相談と適切な検査・診断がとても大切なため、お子様の成長や身長に関して、少しでも気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
低身長の問診・検査
成長曲線を作成します
お子様の身長に関してご相談いただいた際には、まず最初に生まれた時の状況(出生体重や週数など)や、これまでにかかった病気、これまでの成長の様子、そしてご家族の身長などについて丁寧にお話をお伺いします。これらの情報は、お子様の成長を総合的に評価する上でとても大切です。
次に、母子手帳や保育園・幼稚園・学校などで行われた身体測定の記録をもとに、『成長曲線』を作成します。成長曲線を描くことで、同じ年齢・性別のお子様と比べてどのくらい身長が離れているか、また成長のペースに問題がないかを視覚的に確認することができます。
そのうえで、現在の身長・体重を正確に測定し、手足の長さや体のバランスを確認します。また、低身長の背景に何らかの病気が隠れていないか、全身の診察もあわせて行います。
お子様一人ひとりの成長には個性がありますが、必要な検査や専門的な評価を行うことで、安心して見守ることができるようになります。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
成長曲線の作成後、低身長と判断した場合
低身長(成長曲線の実線の一番下のラインである-2SD以下)に位置する場合や、年齢に応じたペースで身長が伸びていないと判断される場合には、より詳しい検査を行う必要があります。これは、病気が隠れていないか、また将来的な成長に問題がないかを正確に調べるためです。
初診時には、これまでの成長の経過や診察に加えて、必要な検査をいくつか実施いたします。そのうえで、検査結果がそろった後日、再度ご来院いただき、詳しく結果をご説明し、今後の方針についてご相談します。
主に以下のような検査を行います
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レントゲン検査
手のレントゲン検査を行い手の骨の成長具合(骨年齢)を確認します。実際の年齢と骨年齢の差をみることで、成長の予測が可能になります。
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血液検査・尿検査
血液検査・尿検査を行い、成長ホルモンや甲状腺ホルモンなど、成長に関わるホルモンの状態をチェックします。また、慢性疾患や内分泌の異常など、他に隠れた病気がないかもあわせて調べます。
検査結果後
検査結果において成長ホルモンの分泌が少ない可能性があると判断された場合には、より正確に評価するために『成長ホルモン分泌刺激試験(負荷試験)』を行います。
この検査は、お子様の体が成長ホルモンをどの程度つくり出せるかを調べるものです。専用のお薬を使って体に刺激を与え、その反応としてどれくらい成長ホルモンが分泌されるかを確認します。検査中は、お薬を投与したあと30分おきに採血を行い、合計で2時間ほどかかります。お子様にとって少し長い検査になりますが、適切な診断のために大切な検査です。
また、この刺激試験の結果、成長ホルモンの分泌が明らかに不足していると判断された場合には、原因をさらに詳しく調べるために頭部MRI検査を行います(こちらは当院と連携している医療機関をご紹介します)。
これらの検査を総合的に判断し、成長ホルモンが不足していると診断された場合には、『成長ホルモン補充療法』という治療の選択肢をご提案することになります。治療の必要性や方法については、保護者の方に十分ご説明し、ご理解・ご納得いただいたうえで進めてまいります。

医療費支援制度
成長ホルモン療法は治療が長期にわたる場合があり、成長ホルモン製剤も高価なため、医療費が非常に大きくなることがあります。
成長ホルモン治療に必要となる自己負担額を軽減するため、以下のような様々な医療費支援制度が設けられています。
詳細は当院の受付にお問い合わせください。
- 小児慢性特定疾病医療費助成制度
- 乳幼児医療費助成制度・子ども医療費助成制度
- 高額療養費制度
- 付加給付制度